マッサージ屋さんの価格設定

コロナ流行後、うちの会社では決められた日数までは自由にテレワークできるようになった。door to door で通勤往復2時間がなくなるのは嬉しいのだけど、自宅の仕事環境が良くないからなのか、最近ひどく肩がこるようになった。

そういうわけで月に2,3回はマッサージに行くことにしている。

 

自宅から自転車で10分くらいのところにあるマッサージ屋さんがあって

僕はそこが気にいっている。

理由は2つ。

まず、シンプルにとても安い。50分3,000円。激安。

もう1つは、深夜2時まで営業している。遅くまで仕事をしていても、そのあとに行ける融通の良さがいい。

 

今日も仕事を22時までした後にその店に予約の電話をしたのだが、いつもとお店の対応が違った。

23時から予約が取れるか聞いたら、しばらくNoともYesとも言われない。

お店の別のだれかと相談しているようで、少し待たされ、そしてこう言われた。

「90分のコースなら予約可能です」

ほうほう、なるほど。

今日は金曜日で集客に困ってないから、客単価を上げたいということだ。

料金を尋ねると、90分6000円だという。

マッサージ1回に6千円は個人的には高いのだが、今日はどうしようもなく肩が痛かったのでお願いした。

 

前に、いつも通っている仲の良い美容師さんが話してくれたのだが、ビジネスとしてはカット・シャンプーが多い男性客は正直全くおいしくなく、オプションを色々オーダーしてくれる女性客をどれくらい囲えるか重要らしい。

 

マッサージ屋さんもたぶん似たような話なのだろう。

店を始めたばかりで、お客さんの数が少ないときは、競争力のある価格設定で集客をして、固定客がついて集客が安定したら客単価を上げに行く。

ビジネスとしてやってるのだから当然の戦略だ。

ただ、この90分6000円という価格設定はちょっと違和感がある。

 

例えば、スーパーやドラッグストアがチラシ広告をうって、ティッシュや洗剤といった生活必需品を地域一番の激安価格で載せる。それらの特売品目当てでくるお客さんは、来たついでに他店と変わらない価格の別の製品もおそらく一緒に買ってくれるから店の売上と利益は増えるだろうと見込む。

実際そうなるかはわからないけど、戦略としてこれはわかる。

 

また、例えば、プリンターや一眼レフを激安で売る。

価格設定次第では赤字になるかもしれないが、後にインクやレンズといった利益率が高い製品を買ってくれるので、中期的目線で見れば儲かる。

これもわかる。

 

ただ、マッサージ屋さんの場合、提供しているサービスは1つだ。

異なるのは「提供時間」という量の差だけ。50分なのか90分なのか。

僕が何を言いたいのかというと、マッサージ内容は同じはずなのに、料金の高い90分コースのほうが1分あたりの単価が高いということだ。

90分6000円=45分3000円<50分3000円

たこ焼き1個買ったら500円です、2個買ったらなんと1100円です!

そんな話だったら誰もが「このたこ焼き屋頭おかしい」と思うはずだ。

 

もし僕がとても意地悪な客で、50分3000円のコースを2回連続で予約すれば、100分6000円なので、10分お得にマッサージしてもらえる。

そんなことはもちろんしない、しないけれど、サービスの内容が同じである以上、たこ焼き屋と同じことをしている気がするのだ。

 

お店としては客単価を上げたいから、できれば料金の高いコースを選んでほしいと思っている。

一方、お客としては、料金の高いコースのほうが単純にコスパが悪いから、安いコースを選びたくなってしまう。

なのでお客さんが90分コースを選びたくなるような付加価値を加えないと、そのお店の目玉である50分3000円のオーダーばかり増えるのではないかと思う。

 

例えば、50分3000円と同じ1分単価で計算すると、90分5400円になる。つまり600円割高なのだ。

なので、90分6000円コースを受けたお客さんに対して、今日から1か月有効の600円以上の割引券を渡す。もし集客が決まって混雑する曜日や時間帯があるならば、そこは除外対象にすることで稼働率も上がる可能性がある。

 

お店にとっては利益率は下がるが、平均単価と来店頻度向上が見込める。

お客としても、例えば僕だったら、1か月以内にどうせまた来るし、割引券を使えば割高感もないので(割安ではないが)、次も90分コースをえらぶ可能性が上がる。

 

と、まぁ頼まれてもしないのにそんなことを考えていた。

実際はこの店が何をすべきなのかは経営者や店長じゃないとわからない。

集客が問題なのか、集客の偏りが問題なのか、集客は十分だが平均単価が伸びないのが問題かでやるべきことは変わってくる。

 

なにより、この価格設定が変わらなくてもどうせ僕は通い続けるのだろうから、意外とうまく回っているのかも。。。